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ブラックジャーナル

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2016年08月17日
ポジティブ

「プレミアムフライデー」への期待

フジテレビ「ホウドウキョク」のニュースプログラム「あしたのコンパス」においてコメントした、「プレミアムフライデー」の有効性に関する論点と意見詳細

(1)そもそも金曜日午後3時に帰れるのか?

ネット上などでの反応を見る限り、「月末は数字の締めなどがあり、通常の金曜よりも忙しく、現実的ではない」「オフィスワーカー以外の業界・職種はカレンダーとは関係なく仕事をしており、『金曜日午後3時』というくくり自体がナンセンス」といった批判が目立つ。

ただ、『社会生活基本調査報告 平成18年第1巻』(日本統計協会2008)や『データブック 国民生活時間調査2005』(NHK放送文化研究所2006)といった資料から数字を見る限り、日本の就業人口のうち平日勤務が約9割、土曜勤務が約6割、日曜勤務が約3.5割ということで、対象に当てはまる母集団はまずまず見込めると思われる。(日本全体の就業者数は約6,500万人)

「週休二日」や「クールビズ」「ノー残業デー」など、政府や公務員から実践・主導したことで浸透していった施策もある。従前「自主的にやれ」というやり方でダメだったところを、ある程度の強制性をもった枠組みを用意することで変わっていく可能性もあるので、批判する前にやってみるのもよいだろう。実践してみた結果、不具合があれば修正していければよいのでは。

(2)本当に個人消費の喚起になるのか?

ゴールが個人消費喚起ということであれば、今回の施策のように「余暇の時間を作るから消費してよ!」というだけでは、実効性は疑問である。

個人消費が増えない理由は諸説あるが、私の意見としては、「労働者の将来不安&給与が安いこと」が考えられる。自由に使えるお金が充分にあれば、わざわざこのような機会を与えられなくとも自発的に消費くらいするものであり、もう少し直接的な解決策があるものと思われる。

また、オフィスワーカーのホワイトカラーのように、「労働時間が減っても給与が減らない層」には何の懸念もないが、派遣、パート、アルバイト、業務委託など非正規労働者の場合は労働時間の減少分がそのまま収入源に直結するため、埒外となってしまう可能性もある。(全労働者人口のうち約4割が非正規雇用)

実効性を確保するためには、「利益を確保できるビジネスモデル」と、「成果を出せば給与が上がっていく仕組み&労働環境」を経営者が提供し、労働者の不安を払拭することが優先であり、国はそのような取組をおこなう企業が活動しやすいように制度面などからサポートをおこなったり、減税や補助金などのインセンティブを提供したりすることに注力したほうがよい。

(3)導入できるのはどのような企業か?

上述のとおり、公務員、大企業、その他カレンダー通りの休みをとれるホワイトカラーのオフィスワーカーが中心となる。
(大手や公務員でも、納期に縛られる仕事(工場やエンジニア)、医療系、教職系などは埒外であろう)

一方で、サービス業や福祉系、インフラなど、カレンダー通りに休みがとれない業態の労働者については埒外となることと、構図として「消費する場所がある」=「そこで働いている人がいる」という形なので、「早帰りの政策を推し進める」こと自体が「一部業界の従業員の早帰りを抑止する」という矛盾をはらんでいる、という考え方もできる。

とはいえ、サービス業や飲食業、旅行業など、消費の受け皿となる業界にとっては受益できる可能性はある。

(4)少子高齢化、労働人口減少の中で効果はあるのか?

早帰りを推し進めることで、長時間労働の抑止や削減につながるのであればメリットはあるが、「そこで短くなった2時間分の仕事」をどこで取り返すかを考えたとき、結局「他の日の残業」という形でシワ寄せになるのであれば意味がない。会社ぐるみの生産性向上で吸収できるような取組が必要である。

上述のとおり「まずはやってみて」というスタンスで見守っていきたいが、国を挙げて取り組むのであれば、このような対処療法的な小手先のものではなく、「将来不安のために今から貯め込む必要がないような年金制度」とか「残業代未払いが確実になくなる施策」くらいの規模の取組をおこない、労働者が「余暇の為に積極的に時間を作ろうとして仕事を早く終わらせる」「どんどんお金を使いたくなる」くらいの前向きな気持ちが持てる労働環境を実現してほしい。

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